2025/11/21

顎変形症の手術を受けたレポ①前編


それは今からおよそ2年半前の出来事――

もんのすごい出っ歯の私は、ついについに、念願の歯列矯正に踏み出さんと地元の歯医者を訪れました。

私「歯列矯正を考えていまして…」
医「ふむふむどれどれ。うん、うちじゃ無理ですね」


2秒で判断すな


これが私の長いながい顎変形症(がくへんけいしょう)治療物語の始まりである。





※医学を学んだことの無い人間が、実体験をもとに適当に書いているブログです。
※病気や処置に関する情報が不正確である可能性があります。ご注意ください。



説明しよう!
顎変形症とは!

生まれつきアゴの骨の形になんやかんやの異常があり歯の咬み合わせになんだかんだの悪影響が出ている病気です。(ド不正確)


いろんなパターンがあるっぽいよ!
おいらは下顎が小さい②!


地元の歯医者さんに大きい病院を紹介してもらい、いろんな検査を受けた末にくだった診断は「顎変形症の下顎なんちゃら」でした。

私の出っ歯は、前歯がちょっと飛び出ているようなシンプルな出っ歯ではなく、上顎と下顎の大きさが違いすぎてちゃんと噛めてる歯が左右の奥歯1対しかなく噛む力は不均等でねじれておりおかしな咬み合わせによって奥歯は虫歯かってくらいボコボコに削れ側面は割れ歯茎から倒れギッチギチの上顎に収まりきらない歯が前方へ押し出された結果二次被害として睡眠時無呼吸症候群まで発症している立派な出っ歯(病気)でした。


私の歯並びを正常に戻すには顎の骨を切って顎ごと歯をずらして正確な位置でネジ固定する全身麻酔の手術を受けないといけないとのこと。
怖すぎワロタ

そしてさらに、その手術をするための準備として、ごちゃごちゃの歯並びをまずワイヤー矯正でできるだけ整える必要があるとのこと。
歯を抜いたり、ワイヤーで縛ったり、謎の金属装置を上顎につけたり。
私の場合はこの事前準備に2年ちょいかかりました。
スローライフすぎてしぬ


自由診療ではなく病気治療なので
健康保険が使える
ありがてえ


診断を受けてから約2年間、いろいろありました。


歯の隙間を空けるため、硬いゴムを歯の間にさしこんだまま2週間くらい生活する処置があったのですが、歯の根元が無理やり動くのでヴァーーーークッソイッテーーーーー!ヤッベーーー!誇張抜きで何も噛めねーーーー!となり、つぶした豆腐とつぶした粥とつぶしたアボカドを丸飲みして食いつなぎました。
「歯が全く使えない」って深刻な事態なのだと実感。
どれだけ舌と上顎を駆使したってスムージーより固いものは食べられません。マヂムリ介護食の研究しょ。。


矯正器具をつけたてのころは口内炎ができまくりました。
粘膜に金属があたり続けるなんてね、そりゃ炎症起きまくるよね。
そんな激痛ってわけでもないし、生活に支障も出ないけど、食事に集中できない程度には痛くてうぜ〜って感じでした。
しかし1年たつころにはなんと口内炎はほとんどできなくなり、人体の強さというか、適応力を感じてプチ感動。
「口の中に金属ね、オッケー粘膜その仕様にしとくわ(施工期間1年)」ってなったんですかね。しらんけど。


一番印象に残っているのは抜歯です。
私の場合はGUMのデンタルフロス極細フラットが歯間に入らないくらい上の歯がぎちぎちに詰まっていたので、矯正のスペースを空けるために歯を2本抜きました。
麻酔をうって、健康な歯を根っこからミチミチ…と外すときのあの不気味さ。やばい。全然痛くない。おかしい。
顎は悲鳴を上げているのに脳はヘラヘラ笑ってる、そんな不自然な時間が恐かった………
ちなみに抜歯後の痛みは大したことありませんでした。
鎮痛剤を使えばやわらぐし、埋没した親知らずを抜いたことがある人なら余裕だと思います。


振り返ればあっという間…でもない
長かった


まあそんなこんなで約2年、いよいよ明日が手術!というところまで来ました。

手術の前日から入院、退院は早くても7日後くらいだそう。
人生初の入院生活&全身麻酔手術です。
知らない人間が半径数メートル以内にわんさかいる空間で1週間以上も過ごさないといけないのがしんどくてソワソワしています。
手術より集団生活のほうが怖いかもしれない。これが……社不…


ソワソワソワソワしながらも病院のごはんうますぎて完食しました。
他人がつくったメシうめえー!!ありがてえー!!
栄養たっぷり健康的なごはんがうまい国にっぽん最高ー!!


家の猫に会いてえなあ…


手術の直後はいろいろな管に繋がれて痛くて気持ち悪くてもう大変!って感じらしいのでちょっとドキドキします。
顎変形症の手術についての体験談ブログを読み漁った時期がぼくにもありました…

目標は術後目覚めたその日のうちにswitchで遊ぶことです。人生は短いのです。1日たりとも無駄にしたくないのです。
ゲームすんな寝ろ!って看護師さんにしばかれたい(クソ患者)


さて、気になる術後は…



1日目(手術当日)


朝イチの手術でした。
水分摂取にささやかな制限があったので気にしつつ、あつ森をしながら時を待つ…
これ以上無いくらい恵まれた環境のなか、人為的に大骨折をする気分やいかに!?


手術室に入るとあったか〜い台に寝かされ、スタッフさんたちがテキパキといろんな装置をつけていきます。我こそがまな板の上の鯉。
酸素マスク的なものをカパッとかぶせられ、声かけとともに深呼吸していると、有機溶剤みたいな匂いのする気体が流れてきました。
オェ…くさ……なんかくっそ疲れた日の夜みたいな浮遊感が……

あたいは平成一桁ガチババアではなくまだぴちぴちの大学生なので、サークルだか授業だかで皆と話し合いをしています。
教室がざわざわしている。
会計かな?会計係に関するなんかあれの話とそれの話を

「ひかるさーん?」

やっべ話し合い中なのに寝落ちしてた!
今なんの話してた!!?!?すいやせん!!
起きました起きました、はい

「終わりましたよー」

ん????
えごめんなんの話?

あ、あ、手術か(思い出した)


全身麻酔、普通に寝たときみたいに普通に夢みて普通に目覚めました。
かがくのちからってすげーーーー!



「麻酔すごい!まるで寝落ちでした!」
「息苦しくないですかー?」
「大丈夫です!」

しかも、モゴモゴしつつ普通に話せる。
鮮烈な痛みとか、息苦しさもない。鼻詰まりもない。医学すごい。

でもここからだんだん麻酔が抜けて痛く苦しくなっていくのだろうな…やだな……右目にゴミ入ってんのかめっちゃゴロゴロするな……

「ひかるさん、気持ち悪さはないですか?」
「少し気持ち悪いです、肩凝ったときみたいな気持ち悪さがあります」
「ずっと同じ姿勢でしたからね〜。吐き気止め薬が入っているのでもうすぐ効いてくると思いますよ!」

ああありがてえ〜〜〜!かがくのちからって以下略

車酔いとか片頭痛とか脳貧血とか低血糖で感じるあの脳からくるタイプ(?)の吐き気ってまーーーーじでしんどいからね、吐き気止め神神神
右目いてえな……



そんな感じで、寝落ちしているうちにあっという間に手術は終わり、意識があるままベッドごと入院部屋に運んでもらい、少しずつ増していく疼痛(とうつう)を感じながら数時間くたばっていました。

痛みは決して弱くはないけど、痛み止めのおかげで拍子抜けするほど地味です。
コントラバスの低音をボォーーー……と弾き鳴らし続けているような痛み。
痛み止めが切れてくるとボォーーー↑↑ドウゥン…ドウゥン(クソデカ和太鼓)みたいになってきて、耐えるため体に力が入り、鬱々としてきますが、それでも10段階中6か7くらいの痛みです。

かつて子宮内膜症を患ったときに頻繁に感じたビビィーーーーーープパーーーーーー!!!!!!ビギャャャーーーーーバババババババというトランペットとチューバを全力でぶっ放したような腹痛(しかも鎮痛剤が全く効かないまま何時間も続く)が人生最大の痛みだったので、それを10とすれば全然耐えられるレベルです。
人は痛すぎるとアルマジロのようににカチコチに丸まって「ク………カッ」みたいな音しか出せなくなるし、気持ち悪さが限界突破すると思考と感情が停止して「ただ苦しみを自覚するだけの哀しい物体」みたいになりますから、こんなん全然余裕です。(隙自語)(遠い目)

たとえるなら歯茎に埋まった下の親知らずを左右3本ずつ抜いたくらいの痛み?ダメージ?
ちなみに私の手術は下顎のみです。時間は4時間くらい。
だから軽く済んでるってのは絶対ある。上下やった方の体験談を見るともっとしんどそうなので…



手術終わって4時間もたつと首から下は問題なく動かせるようになり、水もちびちび飲めるようになりました。
顎の痛みの他には、風邪ひいたときみたいな喉の痛みがあります。
嚥下痛っていうの?でもインフルやコロナよりはマシだと思われ。

手術中に尿を排出するための管が股に刺さっていたのですが、それを抜くときだけイデー!と声出ました。
膀胱炎をひどくしたような、楽器でいうならピアニカの高いシをビーーー!と鳴らしたような、そんな鋭い痛み。一瞬で助かった。
……もしかして噂の尿路結石ってこんな痛み?やばない?
もし生きているうちにいかがわしいBL本を作ることがあったとしても尿道プレイは描きません(なんの話だよ)


はあ、それにしても右目が痛い。
手術中に右目になにか入ってしまったらしくゴロゴロ感と涙が止まらない。
最悪だ!!眼の治療に来たんじゃねーんだぞ!!💢


1日目は右目が1番痛かったまである。チクショ〜


ちなみに術後6時間であつ森ができるくらい元気でした。


ヨシ!見た目のグロさに反して元気
傷から出てるチューブどう見ても血入ってるけど
なんも痛くないどうなってんの




2日目


夜間、鎮痛剤が切れてくるとどうしてもドウゥン……ズウゥン……という鈍痛を感じるので、さすがに1日目夜は熟睡というわけにはいきませんでした。
まったく運動していないからそもそも眠くないし、何よりもうガチ右目いてえし右目いてえし右目

夜は右目から涙を垂れ流しながらスマブラやってました。
細切れで寝て、計4時間くらいは寝たかな?
意外と寝てるな…


手術2日目は、1日目と同じように点滴や血抜きの管につながれて水だけ飲んでトイレ行ってぐうたら過ごす感じでした。
休んでいる間に診察、採血、レントゲンなどの予定がランダムに入ります。
腹減ったな〜〜〜〜と思いつつ、顔は動かせないほどバンバンに腫れ口は1cmも開かないくらいガッチリ固定されているので、普通の食事はまだしばらく我慢です。
入院前にどんぶりご飯にケンタッキーのせて食べてきてよかった♡♡


術後は顔の腫れを固定するため、顎にぐるっと巻くようなサポーターをつけています。
今日の診察では、私の手術を担当した執刀医の先生がサポーターを外して診てくれたあと「これでヨシ!」とサポーターをつけ直してくれました。


よくねえわ


人としての尊厳を失ってそうな髪型のまま廊下を歩いて部屋に帰りました。
手術にスキルポイント全振りしてそうな職人気質のお医者さん、嫌いじゃないぜ…
でもあのあたい女のコだから一応ちょっとこう見た目も気にななななr


あとは右目が痛いと騒いだ甲斐あって眼科から薬をもらえました。
あんなにゴロゴロズキズキ痛んでいたのが嘘のように治まり、感謝感激雨あられです。
日本という医療先進国から出られない…

この日は目の痛みが無くなったことによって、すこやかに爆睡することができました。ありがてえ!!ありがてえ!!

さあさあ、わが骨よ皮膚よ!蘇るのだ!!!




3日目


ッシャアアアァァァァァ!!!!!!メシだーーーーーーー!!!!!!!!!!!!


気分はモンキー・D・ルフィですおはようございます。
予定通りなら今日の昼から栄養を経口摂取できます。

今朝は傷口から体液を排出するために使っていた管を抜いてもらいました。
それなりの太さの管を傷の中にぶっ刺したまま2日間放置して体液をコントロールするなんて人類はすげえことを考えるな……と遠い目をしていた2日間でしたが、無事に血も止まったようでこれ以降ドレーン(管)とはおさらばです。

管を抜くときはどうしても傷口に触るのでズキッと痛みました。
口の中の傷ってさやっぱ嫌だよね〜〜

下がったテンションをメシで上げていきます。
今日は鎮痛剤無しでいけるかな?と頑張ってみたところ地味に痛くて鬱だったので鎮痛剤とともにメシを食います。


めし




あ゙あ゙あ゙あ゙っあ゙ア゙ア゙あっああアアーーーーーーーヴメ゙ェ゙ーーーーーーーーーー!!!!!!!!



糖分が!体に!しみわたる!!
だけど!傷口には!しみない!!
勝ちました、勝ちです

ウィダーの飲み口が口に入らなくて詰んだかと思いましたが、小皿にあけてスプーンで少しずつ流し込むことによってうまく摂取できました。
埋没親知らず抜歯のときの記憶だと、ストローで吸い上げる動作は傷にしみた気がするので、スプーンを駆使してすべてをどうにかしたいと思います。

ウィダーの他にはダシのきいた具なし味噌汁飲むヨーグルトがありました。
しょっぱいもんと甘いもんを交互に食べられる幸せ。
あーーーーーーーー……うまい……うまいよ………(大泣)


去年うつ病を患って食事を作れなくなったとき、ウィダーとカロリーメイトにはめちゃくちゃ救われたんですよね。栄養もとれてこんなにうまいなんて最高だ。
病院食として出るってことはそれだけちゃんとした製品だということ。
ありがとう、大塚製薬。
と思ってパッケージをよく見たらウィダーはMORINAGAでした。すいませんでした。



夜ごはんも似たようなラインナップで、うめえうめえ言いながら食べました。
途中、栄養ドリンクゼリーの強い甘さに「ウッ…」となりましたが、食後に服薬する漢方薬と混ぜて事なきを得ました。
苦くておいしい(錯乱)


私の場合、顔の腫れのピークは3日目の夜でした。 
3日目は術後初めて入浴ができたのですが、鏡で見た自分の顔がクレヨンしんちゃんくらい横にふくれていてもはや元の自分の顔が思い出せません。
元からこんなだったかもな……

そして下ぶくれになった顔をしっかり支えて保護してくれるサポーターがすごく心強い!
世の中にはこんな便利アイテムがあるんだなあ
親知らず抜歯のときも使えそう、顎サポーター。




(「顎変形症の手術を受けたレポ②後編」へ続きます)