ドット絵作りは楽しいね!
※右2列はWWAが配布している公式ドット素材です
ゲーム内で使うドット絵の用意は、ゲーム作りの楽しみの1つ。
WWAでゲームを作るときは、基本的に40×40pxlのドット絵を使います。
限られた色数、限られたサイズのキャンバスに、いかに自分の世界を描いていくのか?
ドット絵を作るときに使えそうな小ワザを、自分で見返すためのメモもかねて、書き連ねてみようと思います。
注目してほしいのは人物の表情?武器?ファッション?
プレイヤーに見せたい部分がある場合、その部分をどデカく描くと伝わりやすくなります。
WWAデフォルト素材(右上3つ)は
衣装(職業)を全面におしだしたデザインかな?
たとえば主人公キャラのグラフィックの場合……
・ストーリーに伴って変化する表情(感情)に注目させたい→顔をでかくする
・衣装によって身分や職業が異なることを強調したい→体をでかくする
敵キャラのグラフィックの場合……
・不気味な笑みを浮かべている様子を全面に出したい→顔をでかくする
・どんな属性の攻撃を出してくるのか一目でわかるようにしたい→武器をでかくする
・図体の大きさをあらわしたい→足をでかくする(あおり構図に見えるため)
小さなキャンバスなので、マンガ的表現との相性が良いですね。
みんな、表情が見えないよ
逆の考え方として、キャラクターを特定の要素で強く印象づけたくない場合は、全身を均等に描くと客観的でクールな世界観になると思います。
「主人公=プレイヤー」として没入してもらいたいなら、言葉をしゃべらせず、顔も見えない無機質なグラフィックの主人公にする方がいいかもしれません。
どんなデフォルメにするか、ゲームのジャンルや雰囲気によって変えていくとおもしろいと思います。
その2「主線を描かない選択」
輪郭を全部なぞらないと描写できない?大丈夫!この世を構成するのは面
組んだ手、ロココ調の装飾、たくさんの歯、など
40pxl四方のドット絵には描ききれない複雑な描写をしたいときは、線で描かずに、面と影で描くのがおすすめです。
こんなジジイをドット絵にしたいと思ったら
「手」を例にあげます。
指の1本1本を黒線を引いて緻密に描写していたらおそらく40pxl四方には収まりません。
引きで見たときに黒線が目立ちすぎて、何が描いてあるのかわからなくなるのもドット絵あるあるだと思います。
そこで、輪郭を線でたどるのをやめます。
手のどこに影が当たっているかをふまえ、指の数を減らし、動作を簡略化し、面と影で描きます。
影はこんな感じだから
だいたいの形を色面で描いてから
影を塗って調整していく
どう?それっぽく見える?
組んだ手を一番に見せたかったので
表情は簡略化しました
手ではなく、お歳を召したシブい表情を全面に出したい場合は上2/3ぐらいのスペースを使ってでっかい顔を描くといいのかなと思います。
小さなドット絵は、錯視を利用できるおもしろい描画方法です。
正確な描写をしていなくても、描かれていない部分を勝手に脳が補完するため「それっぽく」見せることができます。
その3「反射光で色を増やす」
白いものを白色を使わずに表すにはどうしたらいい?
答えの一例:周りを暗くする(反転)
発光するものじゃなければ
夜は右のように見えるはず
極端な例を出しましたが、要するに「色」っていうのは結構簡単に見え方が変わるものです。
昼のマップでは白で描画したものを、夜のマップでは灰色で描画する。
すると、夜のマップで使える「白」は実質2色になります。
WWAのマップチップのデフォルトパレットに設定されている色は82色ですが、これらの屁理屈をこねて工夫をするといろいろな色を表現することができます。
同じ緑色(R:102,G:204,B:51)を使った石でも…
左下の面は全部同じ色だよ
反射光の色を変えれば、青っぽい緑、鮮やかな緑、茶色っぽい緑、など異なる色合いが表現できます。
薄暗い場所ではわからなかった微妙な色の違いが、明るい場所で見るとわかったりしますよね。あの現象の応用です。
反射光に補色を使えばギラついた金属質な色に。
色を工夫すると、色数が増えますが、質感を増やすこともできるかも。
その4「固定観念を拭って色を増やす」
物議をかもす"肌色"の定義……
これは小ワザというよりは、ヘリクツというか、ドット絵は関係ないというか
メンタルの問題です。
視野を広げることは技術の幅を広げるよりも簡単です。
いろんな人がいっぱい
私はかつて、WWAのデフォルトパレットには肌色が1つしかない!と思っていました。
人物パーツの肌は迷わずこの1色で塗っていました。
あれ?
そんなことなかったね!!!
現場からは以上です
ありがとうございました
いかがでしたでしょうか。
少しでも皆さんのドット絵作りのお役に立てたら幸いです。
ゲーム用ドット絵にロマンを感じて早25年。
錯視が使える描画方法なところも、簡略化されているぶん創造の余地が残されているところも好きです。
WWAデフォルト素材の紫のポーションを「ピンクのポーションの上位互換」として使うか「腐って色の悪くなったピンクのポーション」として使うか、そういう解釈の幅が許されるのってドット素材ならではなのかなって。
これからも、ドット絵やWWAを楽しく作っていきたい!
この記事はWWAアドベントカレンダー2024に投稿したものです。
明日はアルクスさんの『骸伝:いつか見た虹』の制作についての投稿です。
お楽しみに!